本当に分かってる?クラリネットの演奏に欠かせない姿勢と呼吸
クラリネットの演奏において、正しい姿勢と呼吸は音色や演奏技術に大きな影響を与えます。
本記事では、正しい姿勢と、腹式呼吸と胸式呼吸の違いを解説し、ブレストレーニング(呼吸トレーニング)の方法をご紹介します。
姿勢の重要性
正しい姿勢を保つことは、楽器の操作性を高め、より良い音を出すために欠かせません。
下記ができているかチェックしてみましょう!
- 背筋を伸ばし、肩の力を抜く
- 楽器の角度は35~40度くらい(推奨)
- 譜面台の高さが低すぎると頭が下がって首が締まりますし、高すぎると指揮者やお客様から顔が見えないのでちょうどいい高さを探しましょう。
- 椅子に座る場合は骨盤を立てるように座る。浅く座る場合は足を踏ん張れるように座り、腰痛などがある方は深く腰掛け、背もたれを使いながら座ると良いでしょう。
呼吸を深く行うためには、胸や腹が圧迫されない姿勢が重要です。
良い姿勢とは?
この写真を見て、皆さんはどんな姿勢に見えますか?
背筋が伸びているので、一見いい姿勢に見えますよね。
でも注目してもらいたいのは腕の位置。背筋が伸びていても腕が前に出ているということは巻き肩になっている可能性が!比較画像を見てみましょう。
比較すると、腕の位置が横に来ている方が良い姿勢なのが分かりますね!ちょっとしたことのように感じると思いますが、身体にとっては大きなことなんです。
次に、腕が真横に来るように体を動かしてみます。一緒にやってみてくださいね。
- 耳の横にまっすぐ腕を伸ばします。
- 体の真横を通って腕を下ろします。
すると、こんなにも肩位置が変わります…!!!
ウソみたいに変わりますよね…!反対側も忘れずにやってくださいね!
これが、正しい姿勢です。
正しい姿勢になるだけで息が吸いやすくなるので音が大きくなります!びっくりするくらい変わるので皆さんやってみてね!
腹式呼吸と胸式呼吸の違い
腹式呼吸とは
腹式呼吸は、横隔膜を下げて息を吸う呼吸法です。
息を深く吸い込むことで、肺の下部まで空気が入り、効率よく酸素を取り込めます。全身をリラックスさせる効果もあり、持続的な息のコントロールが可能になります。
胸式呼吸とは
胸式呼吸は、胸を膨らませるように息を吸う方法です。
主に肺の上部を使うため、浅く速い呼吸になります。ぜぇぜぇ言うような肩での呼吸や、緊張時や急いで息を吸う場合に多く見られます。
腹式呼吸がクラリネット演奏に適している理由
- 息を長時間一定に保つことができ、音の安定感が向上します。
- 音量の調整や豊かな響きを実現できます。
腹式呼吸の仕方
最初にお伝えしたいのは、プロ奏者の間でもいろいろな方法があるということ!コレ!という決まりがないので自分に合った方法を選択する必要があります。ここでは私流の腹式呼吸をお伝えしますね!
腹式呼吸はお腹を膨らます!お腹で息を吸う!そう聞いたことがある方も多いと思いますが、なんで?笑
私はお腹は膨らみませんし、お腹で息は吸えません。なぜなら、息は肺に入るものだからです。
身体の使い方
腹式呼吸は横隔膜を上げ下げするのですが、横隔膜は上げる!下げる!など意識で動かせる筋肉ではないので、いったんここは置いておきますね。
私が意識することは、肋骨をしっかり開いて肺にたっっぷり息を入れるということ。皆さんは肋骨は動きますか?レッスンしていても最初から動く方は少ないのですが、意識を向け、練習していくことで肋骨が動いてきてしっかり息が身体に入るようになります。
女性奏者ならではの悩み
余談ですが、整体へ行って施術してもらった際、息を吸って〜と言われて肋骨を開いて大きな腹式呼吸をしたら先生にものすごくびっくりされて、何のスポーツのプロですか!?と聞かれました笑 それくらい、肋骨を動かせる人って少ないみたいです。
肋骨を開いて吸っていくことは、私の身体を最大限効率良く使う手段です。
学生時代、ウィーン・フィルハーモニーのペーター・シュミードル先生のマスタークラスを受講する機会がありました。シュミードル先生が自分の脇腹に私の手を当て、息を吸うと身体がこうなるんだ!と、ボンっと膨らんだお腹を触らせてくださいました!私的には膨らむ前のお腹がめちゃくちゃ大きかったことにすでに驚いてしまって…笑 そもそも男性と、外国人と、身体の作りが全然違うんです。当時の私なんて痩せ型だったので身体の厚さもシュミードル先生の半分以下だったのでは…?(言い過ぎかな笑)そんな体格の方々と、私たちはクラリネットやリードは機種は違えど同じのものを吹いているわけです。
パワーや容量では絶対に敵わないので、身体を最大限に効率よく使って演奏することが大切だと気が付きました。
演奏に活かせるブレストレーニングの方法
初心者向けトレーニング
まずは 腹式呼吸の感覚を掴みましょう。人間の体は仰向けに寝ると自然と腹式呼吸に呼吸が切り替わります。そのとき、息を吸うとお腹が膨らみ、吐くと凹んでいくのが分かります。
お腹に手を当てながら呼吸をしている時の感覚がどうなのか、しっかり感じましょう。
ブレストレーニング
このトレーニングでは吸う息、吐く息を最初から最後まで一定の量を保ちます。演奏中に息が足りない、または余ってうまく息が吸えないことなどが起きないよう、息量をコントロールしていく練習です。
メトロノームはテンポ60くらいがおすすめ
8拍かけて、最初から最後まで同じ息の量で吸います
8拍息を止めます
8拍かけて、最初から最後まで同じ息の量で吐きます
余ったり足りなくなったりしないよう、同じ息の量を必ず意識してください。羊羹のような形を思い浮かべるとイメージしやすいかも!
腹筋も、おへその下あたりの筋肉(丹田)に軽く力を入れて行いましょう。
出来るようになったら8拍を12拍、16拍と増やしていったり、吸う長さと止める長さを短くしてみてください。吸う長さを1拍にすると普段の演奏のブレスに近くなってきますね。本番の演奏を想定して、フレーズの最後まで楽器に息が入るように長く吐く練習をしていきましょう。
ストローを使ったトレーニング
ストローを使い、吸ったり吐いたりすることで呼吸を強化します。細いストローほど効果的と言われていますが、私は次にご紹介するパワーブリーズを持っていたのでストロートレーニングはほぼやったことありません。
余談ですが、パリ国立音楽院の教授でクランポンのTosca開発にも関わっているミシェル・アリニョン先生のマスタークラスを受けたときのこと。受講生の中に腹式呼吸があまりできていない子がいて、ストローでも吹いていなさい!と、クラリネットではなくその子だけストローを持たされていた衝撃的な記憶があります笑 ストローも効果があるのかもしれないですね…!
アクセサリーを使ったトレーニング
市販の呼吸筋トレーナーを使うことで、横隔膜や呼吸筋を鍛えることもできます。
これ、めちゃくちゃキツイんですよ🤣音大生時代に毎日使って頑張ってました!毎日楽器が吹けない人はこれをやるだけでもだいぶトレーニングになると思います!
ダイエット効果?
長年流行っているロングブレスダイエット。これ、まさにブレストレーニングと同じですよね。私も出産をしてからはお肉がついてきましたがそれまでずっと痩せ型だったので楽器の呼吸にはダイエット効果があるんじゃないかと思っています!
とはいえ、大きい体型の奏者さんもいっぱいいるので真相は分かりませんが…笑
ブレストレーニングを行うついでに、色々なところの筋肉も一緒に使っていくロングブレスダイエットを取り入れるのも良さそうです◎
まとめ
正しい姿勢と腹式呼吸を身につけることで、クラリネットの演奏は格段に向上します!
まずは演奏前に肩の位置を意識した良い姿勢を取りましょう。そして日々の練習にブレストレーニングを取り入れ、自分の呼吸力を磨いていきましょう!