簡単お手入れで音色を守るプロの秘訣と必須アイテム7選
クラリネットは、定期的なお手入れによって長く美しい音色を保つことができます。本記事では、お手入れの必須アイテム7選とともにクラリネットの基本的なお手入れ方法から、プロならではのコツまで詳しく解説します。
お手入れの重要性と準備
クラリネットの素材は、樹脂製や金属製のものもありますが基本的には木製の繊細な楽器です。
適切なお手入れを行うことで、楽器の寿命を延ばし、演奏の快適さを保つことができます。
まずは絶対に欠かせない以下のアイテムを用意しましょう。
- スワブ
- クリーニングペーパー
- コルクグリス
- リードケース
- マウスピースクリーナー
- クロス
- ネジ回し
次の章で一つづつ解説します。必須アイテムですよ!
①スワブ
スワブはクラリネットの管内に溜まった水滴を拭き取るお掃除道具です。スワブを楽器に通す頻度は、多ければ多い方が良いです。
練習の最後だけや、ベルからお水が垂れてきたからそろそろ通そうかな〜くらいの頻度はNG!管内に水の通り道が出来ないように少しでも休めるところがあればすぐに通すのがマストです◎
スワブの種類
1.ビュッフェ・クランポンのスワブ
このスワブは、錘がついている方の反対側に尻尾になる紐がついています。その紐があるおかげでスワブをうっかり管内に詰まらせちゃった💦という時も尻尾を持って引き抜けば簡単に抜くことができて安心です。
ちなみに詰まらせてしまったら無理に引き抜かず、楽器屋さんに持って行ってリペアの方に抜いてもらうか、スワブを切るほかありません、、、気をつけましょうね。
2.スマートロッド
楽器を組み立てたまま、ベルからクロスを挿入してお手入れできる優れもの。合奏などで、スワブを通している間に曲が始まってしまって入りそびれた!(体験談笑)なんて心配がなくなります。ロッドが柔軟性のある棒の部分でこれにクロスをつけて使用するので両方揃える必要があります。
お手入れ方法
演奏後は必ずスワブで管内の湿気を取り除きます。湿気を放置すると、カビや腐食の原因になります。スワブを通す際は、一方向にゆっくり通しましょう。
スワブは水洗いができます。手洗いがベストとされていますが、ネットに入れて洗濯機で洗っても大丈夫です。その際は柔軟剤は入れない方が良いです。
買い換えの目安
こちらは私の生徒さんのスワブ。スワブを長く使っているとこのように端がほつれてきます。軽く糸が出てきたくらいのほつれであればはみ出た糸を切ればもう少し使えると思いますが、↑この写真くらいほつれてきたら買い替えるべきです!
ほつれが出るとスワブを管内にで詰まらせるときと同じように糸が引っかかり、トラブルの原因になります。指導していた生徒さんが本番を控える数日前から急にリードミスが多くなり、吹きにくいとのことで楽器屋さんにメンテナンスに出したところ、
トーンホールにこんなに長い糸が詰まっていましたと、返ってきました。
こちら実際の写真です…!こんなに長い糸が詰まることがあるんですね…!気をつけましょう!!
絶対NGなお手入れ方法
練習し終わったらジョイント部分(上管とタルの間など接続部分)にお水が溜まっていると思いますが、これをスワブで拭くのは絶対にNGです。ジョイント部分にはコルクグリスが付いていると思いますので汚れや油分がスワブに付いてしまいます。そのスワブをクラリネットに通すということはクラリネットの内部に汚れを塗り広げているようなもの…!避けたいですね。
②クリーニングペーパー
トーンホールやタンポに溜まった水滴を取り除きます。
使い方1
タンポの間にクリーニングペーパーを挟んでお水を取り除きます。この時キィを開けずに(押さずに)引き抜いてしまうとペーパーが破れてタンポに張り付いてしまうので注意が必要です。お水がつかなくなるまで乾いたペーパーを挟んで、仕上げにスワブを通しましょう。
使い方2
レジスター・キィを押した真ん中のシやドの音などが出にくいと感じ始めたら、下管のバランス調整が狂いはじめているかもしれません。
このように細く切ったペーパーをタンポに挟んで下管のタンポを閉じます。普通はタンポがしっかり閉じていればペーパーを挟んでも引き抜くことが出来ないのですが、バランスが崩れているとスッと抜くことが出来ます。こうなったら楽器屋さんでバランス調整をしてもらう必要がありますので急いでメンテナンスに出しましょう。
③コルクグリス
ジョイント部(上管とタルの間など接続部分)のコルクに薄く塗ることで潤滑油となり組み立てやすくなります。
スティックタイプ
音が良くなると話題のグリス
トロンバのコルクグリスはもう何年も音が良くなると奏者の間で話題のグリス。天然成分でできている粒子が細かく、密閉性に優れているのでジョイント部からほんの微かに漏れ出る空気を防いでくれるので音が良くなる、滑らかに演奏できるイメージがあります。
少量の使用でたっぷり伸びてくれるのも嬉しいポイント◎バスクラを演奏する時が一番良さを実感します!
④リードケース
リードは水分を含みやすいため、使用後は必ずリードケースに入れて乾燥させます。リードを保護しながら保管できます。
ガラス製
私が愛用しているのはGalaxの両面開きで全10枚収納できるタイプ。ガラス製はリードを平らに保管できるので絶対的にお勧めです。高級感のあるブラウンも好みのポイント!
こちらは生徒さんが使っているリードケース。こちらもガラス製でありながらお値段が安い&可愛いのでお勧めです。
プラスチック製
軽くてかわいいデザインが魅力。このタイプは私もいくつか持っていますが、リードを平らに保管するという面では少し弱いこと、リードを差し込む際に先端を傷つけやすいことから使う機会がめっきり減ってしまいました。個人的にはやはりガラス製の方が好きです。
⑤マウスピースクリーナー
マウスピースの汚れを取り除きます。
大容量タイプ
自宅練習室に常備中!大容量なので気兼ねなく使えます。
持ち運びに
ただただ、可愛い。旅仕事の時は絶対に持ち運んでます!
使い方
マウスピースの汚れ部分に吹きかけ、水分で汚れが少し柔らかくなったかな?と思うタイミングでティッシュ等で拭き取るととても綺麗になります。マウスピースは水洗いした場合、水温や気温などによってはマウスピースの素材であるエボナイトが化学反応を起こして変色することがありますのでクリーナーの方が安心です。
⑥クロス
楽器についた指紋や汚れを取り除きます。
楽器を買ったらついてくるので持ってる方の方が多いかもしれないですね!指紋をこまめに拭き取ることで金属の錆防止にもなりますし、意外と指垢がトーンホールに溜まるのでこまめに拭き取りを行うことが大切です。
⑦ネジまわし
楽器のネジが緩みを直します。
メガネ用のドライバーとほぼ同じ大きさなので100均などでGetすることもできます。
自分でキィのバランスを調整することはお勧めできませんが、練習をたくさんするうちにネジが緩んで飛び出てくることがあるので出てきたネジを締めてあげるのに使います(キツく締めすぎるとキィが動かなくなることもあるので注意!)
季節や環境に応じたケア
冬の割れ防止対策
冬場は急激な温度変化を避けることが重要です。冷たい楽器に温かい息が入ると外側は冷たく、内側が温かいという温度差で木の管体にヒビ割れが入ることが多いです。演奏前に手の熱などで温めましょう。割れる場所はだいたい上管です…!上管をメインで温めてください。
楽器店でのメンテナンス
皆さんはどれくらいの頻度でメンテナンスに持って行ってますか?保証書に書いてあるメンテナンスの頻度は、何度2ヶ月ごとです!
人によって練習量や練習場所、お手入れの仕方などでメンテナンスに出す頻度は変わってきます。しかし、キィのガタ付きや押した時のカチカチ音、タンポの変色、出にくいと感じる音が増えたなど、気になることが増え始めたら割と緊急なメンテナンスのサインです。
クラリネットはガタガタでも音が全く出ないことは少なく、意外とパワーで吹けちゃったりしますのでメンテナンスのサインに気が付きにくいので、最低でも半年に1回は行けると安心だと思います。
キィオイルをも自分で挿すことを勧められている教本もありますが、自分でやるよりは楽器店で挿していただいた方が失敗もないですし、その時の調子にあったオイルを挿してもらえます(オイルにもMやLなど種類があります)ので私は持っていません。
予約
リペアに行く時は必ず電話やweb予約をするようにしてください。だいたいは混み合っていますので突撃しても見てもらえない可能性が…!
定期的なメンテナンスであれば、バランス調整と伝えてください。キィのバランスを調整しながらタンポなど変える必要がある場所も確認してくださいます。
調子の悪い箇所がある場合は必ずその内容や悩みをお伝えします。解決の近道になります。
まとめとプロのアドバイス
クラリネットのお手入れは、楽器を愛する第一歩です。日々の簡単なケアと定期的なメンテナンスを習慣化することで、長く良い状態を保つことができます。特に初心者の方は、最初のうちに正しいお手入れ方法を身につけておくと安心です。
楽器を大切に扱い、豊かな音楽生活を楽しみましょう!